ママはアタシの事、わかってくれない。
そうやって、いつも責めてたけど…
じゃあ、アタシは?
アタシはママのこと想ってあげてた?
心の中で葛藤しているだけ
自分の気持ちを伝えていなかった。
ママとぶつかる事を避けて
気持ちを押し殺して…
そうやって自分を囲っていたから
ママの気持ちに気付いてあげる事も
受け入れる事も出来なかったのかもしれない。
受け入れるどころか
アタシは逃げてたんだ。
ママと同じ眼差しで微笑む
ケイちゃんに。
ケイちゃんの中に見えた
ママの存在にすがってた。
ママは、それを知っていて
ケイちゃんを嫌ったんだ。
ううん、
ママはケイちゃんの事が好きだった。
アタシが慕うのを見て
嫉妬していただけ。
ケイちゃんだって
ママの事が好きで…
そうだ、さっき、ベットのママを見て
怒ったように涙ぐむケイちゃんからは
強く注がれる愛情を感じたもん。
『アタシ…ママのこと好きだよ…
ねえ、けいちゃん、
ママはアタシのこと
好きだったと思う?』
窓からの、流れる街並みと
車の行き交う景色をボンヤリ眺めて
独り言のようにつぶやいた。

