『こまち…行きましょう』
ケイちゃんは泣いていた。
先生の言葉は断片的に
アタシの耳に残っている。
ママは今、機械で呼吸しているけど
脳の神経の停止は
その他の内臓の働きも停めてしまう。
……心臓も。
ママは、あと2〜3日で死んでしまうんだ。
ベッドの側から離れようとしないアタシを
ケイちゃんがなだめる。
『ここは…ね、普通の病室と違って
面会は限られているの。
姉さんの容体に変化があれば
看護婦さんがすぐに知らせてくれるから…
いったん、家に戻って準備して…
こまちも制服、着替えないとね』
集中治療室を出ても
人工呼吸器の、あのシューっという
機械的な音が耳について離れなかった。
ママは、死んでしまうんだ…

