ヌードなアタシ


今日はレッスンも撮影も無かったので
事務所には行かず
電話でスケジュールの確認をした。


TVのCMをきっかけに
撮影が増えてきたのは明らかだった。

仕事の選択は、社長と長沢さんが
授業に支障ない放課後と休日の時間帯で
スケジュールを組んでくれる。

『夏休みは働いてもらうわよ』

長沢さんの張り切った声で
電話での打合せは終わった。



久しぶりにキッチンに立つ。


最近はアタシの方が
ケイちゃんより帰りが遅くて
以前の様に、夕飯の支度を手伝えずにいた。


茹でた白菜を、ぎゅっと絞って
みじん切りにした。

それをボールに入れて
鶏の挽肉と塩とおろし生姜を加えて
手で混ぜ合わせた。

これを、餃子の皮でくるんで
焼き餃子を作る、タレはポン酢で。


ケイちゃんから教えてもらった
アタシでも作れる簡単な料理。


椅子に座り、
テーブルに置いたお皿の上に
くるみ終えた餃子をきれいに並べていく。

手のひらに広げた皮の真ん中に
スプーンですくった具をのせて
左端からヒダを作るように包み込む。



『ただいまぁ…あらっ、餃子?』


ケイちゃんが、いつものように
両手いっぱいに荷物を抱えて帰ってきた。


『うん!今日は仕事なかったの。
ひさびさに作ってみた』


『いーね、餃子…今、手伝うからっ』


ワイン飲んじゃおっかな…と弾んだ声で
ケイちゃんは、荷物を置いた。