『この写真ね、
アタシの叔母が撮ってくれたものなの。
叔母は写真家として本当に素晴らしい人で…
一緒に仕事できるアタシは
恵まれていると感謝してる。
アタシ、この写真大好きで…
カメラを意識した笑顔じゃないけど。
華やかに着飾ったり、
キレイ見える為のメイクも無いけど。
内面がバレちゃうくらい
素のままの十五歳のアタシを
写真という形に残してくれた。
だから、これを見て
いやらしい写真って言われたくない。
アタシはこの写真を誇りに思っているの…』
『大丈夫だって』
卓巳くんが微笑む。
『見りゃわかる。いい写真だ!』
みんなの前でも臆する事なく
認めてくれる卓巳くんの優しさが
嬉しかった。
『なんだ?卓巳ぃ〜
お前、写真とか分かんのかよ?』
『おう!俺…芸術には、うるさいし』
『ぎゃはは、マジで言ってんの?!
こいつの教科書の落書きの絵
まじヤバイって、小学生以下よ』
『…うるさい。俺は鑑賞専門なんだ』
2人のじゃれあいは、
プロレス技の掛け合に変わり
はやし立てる周りも巻き込んで騒ぎ出す。
『もー男子はガキね…
桜木さん、早くお弁当食べよ』
『うん』
にぎやかな笑い声の中
ふと、顔を上げた時
離れた場所にいた奈緒と目が合った。

