ヌードなアタシ


長沢さんは事務所に戻らず
クライアントさんの所に行くらしく
喫茶店を出た所で別れた。


『それじゃ、こまちちゃん。
オーディションの結果は
2〜3日中に事務所に連絡来ることになってるわ。

明日も、一応、顔出してって
社長がいってました。

今日はお疲れ様。
ゆっくり休んでね…』



『お疲れ様でした。
長沢さん…あの…
色々ありがとうございました』


アタシは深々と頭を下げた。

長沢さんは微笑み
ヒールの音をコツコツ響かせて
大通りに向かって歩いていった。



何となく…ブラブラしてから
帰ろうかとも思ったけど
ケイちゃん、きっと心配している。

オーディションの事も
瞬くんの事も…


アタシがあんまり落ち込んでたら
大介さんだって凄く気を遣う。

しっかりしなきゃ…




長沢さんが言ってた。

みんな恋して傷ついて
キレイになっていくって。

アタシだけが苦しい思い
している訳じゃ無い。

みんな乗り越えてるんだから
アタシだって乗り越えれるはず。


長沢さんの姿が見えなくなる…


ちゃんと、笑顔で帰ろう。

アタシは歩き出した。