ヌードなアタシ

本当かな…

この胸の奥に渦巻く
悲しみも絶望もイライラも

いつか、素敵な思い出になるなんて…

アタシには分からない。

長沢さんみたいな気持ちには
きっと、なれない。



『いい恋を、たくさんしてね。
そして、いいオンナになるのよ。

私も、社長も…
本当に楽しみにしているの。
こまちちゃんの成長を』


『…あ、ありがとうございます』


アタシは下を見て
ぐっと涙をこらえる。

昨日から涙腺はゆるゆるで
ちょっと優しい言葉をかけられただけでも
泣きそうになってしまう。


ブーン、ブーン…

突然、携帯のバイブ音。


…!瞬くん?奈緒かも…

ビクッ…としてバックに目をやるが
携帯の着信は、アタシでは無く
長沢さんのものだった。


『あぁ、社長よ。噂をすれば、ねっ。
もしもし…』


会話から、
オーディションの様子が気になってる社長が様子を確認する為にかけて来たみたいだった。


アタシはバックをあけて
携帯を取り出してみる。

やっぱり…着信は無い。


ため息の変わりに
氷が溶けて薄くなりかけたジュースを
一気に飲み干し窓の外を見た。

1トーン暗い色に見える街並みは
スモークガラスが
日差しを遮っているせいだけじゃ無い…

アタシは、しばらく窓の外を眺め
気持ちを静めていた。