『大丈夫よ、みんなそうやって
恋をして…辛い思いして、また恋するの。
その繰り返しで成長していくのよ』
『…こんな辛いなら
もう恋なんてしたくないです』
うふふ…長沢さんは
笑いながら、ゆっくり煙草を吸い込む。
『それがね…おかしなもので
ちゃんと、また、誰かを好きになるモンなのよ。
そうなるとね、不思議な事に…
あんなに辛かった思いがウソみたいに
平気になっちゃうの』
『平気…ですか?』
『そう。
ただね、同じ失敗は繰り返さないように
慎重になったり、
逆に積極的になったりするわよね。
失った恋の原因を自分なりに考えて
今度はうまくいくように考えるでしょ?
そうやって、自分を磨いていくの。
外見も内面も…』
『失った恋の原因ですか…』
アタシ…なんで瞬くんを失ったんだろう?
ケンカなんてしなかった。
…っていうか
付き合ったばかりだったから
お互いの事、まだよく分かってない状況だったと思う。
なにか…
無意識に彼を傷つける事を言ったとか
怒らせるような態度をとったのかな。
わからない。
どうして、こうなっちゃったのか。
何が何だか分からないまま
アタシは大切な人を
同時に2人失ってしまったんだもの…
『あの…原因が分かりません。
何がいけなかったのかさえ
分からないんです…アタシ』

