ヌードなアタシ


控え室に戻ると
長沢さんは席を立ってアタシに歩み寄った。


『お疲れさま。
さっ、行きましょ』


アタシは長沢さんの後について
廊下を小走りに歩いた。


『どんな話したの?』


『撮影でショートカットにしても
かまわないか?って…
あとは、まあ、世間話的な…』


『こまちちゃん、何て答えたの?』


『はい、かまいません…って』



長沢さんは一瞬立ち止まり
アタシの顔を見た。

不思議そうに見返すアタシに
クスッと笑い、また歩き出す。


『随分あっさり承諾しちゃうのね。
髪はオンナの…モデルの命なのよ』


『そうなんですか?
アタシ特に…髪に、こだわり持ってる訳じゃ無かったので…
それに、切っても、またすぐ伸びますよ』


『事務所としてはチョット痛手よ。
ロングの方が何かと需要があるの…』


『…スミマセン勝手に返事して
マズかったですか?』


『ううん。
先方はこまちちゃんの雰囲気を見たくて面接してるんだから
思ったようにしてOKよ。
細かい事は、決まったら事務所がするわ。

決まればいいわね…
私は、こまちちゃんに決まる自信あるけど』


『はい…決まれば嬉しいですけど。
他のモデルさん、キレイな人ばかりで…
アタシ、シロウトっぽくて
浮いてた気がします…』


『あははっ、私が見た感じだと
こまちちゃん、あなたが一番堂々としてたわよ』


長沢さんは可笑しそうに笑った。