『はい、かまいません』
アタシは女性の方をみて
穏やかに答える。
『この数年、ずっと伸ばしていたので
思いきり変えてみるのも良いかもしれません』
女性は無表情のまま視線を書類に戻した。
『あなたは目鼻立ちハッキリしてるし
うんと短いショート似合うと思う。
雰囲気も変わるし
悪くない…うん。悪くないわね』
中央の男性は
書類への書き込みを止め
テーブルの上で手を組んだ。
『ちなみに、こまちくん
ウチの化粧品使った事ある?』
3人は、一斉にアタシを見た。
『いいえ、まだ。
つい、この前までは中学生でしたし…
高校も化粧禁止ですので』
『あらぁ、今どきの学生さんは
みんな化粧くらいしてるわよ!
あなたも、直にするようになるわ』
『そうですね…最近になって
あぁ、綺麗になりたい…と
思うようになりました。
その時はこちらの化粧品にします』
『ははは、そりゃ嬉しいね!
是非に頼むよ。
ところで…高校はどちらですか?』
『西陵高校です』
『ほぅ。それは、それは…
学業との両立は大変だ!』
『…いいえ、両方楽しいです』
『それがイチバンだね。
…では、こまちくん、結果は後日。
今日は、ありがとう』
『はい、宜しくお願いします。
ありがとうございました』
深々と頭を下げ、アタシの面接は終わった。

