『こまちちゃん…
薬無いから飲んでない。腹へった…』
『じゃ、おかゆ食べてから薬飲もうね』
アタシは買ってきた冷却ジェルシートを
大介さんのおでこに貼り付けた。
瞬くんを残し、アタシは1Fに下りて
全く使われている形跡の無い
シンクの棚から小さい土鍋を取り出す。
レトルトのおかゆをあけて
コンロで温めた。
小さい器にみかんを入れて
レンゲとフォークと一緒にお盆にのせた。
土鍋の蓋をあける。
ちょうど良く
クツクツと沸騰しているおかゆに
梅干しをのせて2Fに運ぶ。
瞬くんは電話中だった。
ケイちゃんに状況報告していみたい。
大介さんはレンゲにすくったおかゆを
ふうふう冷ましながら
美味しいと言って食べた。
『こまちちゃん、ケイさん…』
瞬くんから携帯を手渡された。
『もしもし…』
『こまち、ありがとね…
大ちゃん、瞬くんにも連絡したんだってね。
こまちがテキパキと
お世話してくれて助かったって言ってた。
後は、わたしが仕事終わったら
そっちに寄って面倒みるわ。
もう、帰っても大丈夫よ』

