『せめて今くらい名前で読んでよ?』 『嫌よ!私は、その顔とその声で、シバ様に抱かれているつもりなんだから。』 『しょうがないなぁ……。』 二人は、ベッドへとなだれ込んだ。 そう、この男、名前を 『マルス』と言う。シバの双子の弟である。 この国では、双子は、のちのち家系に不幸をもたらすと言い伝えがあり、生まれた場合は、どちらかを養子に出すことになっている。 マルスは生まれてすぐに養子に出された。