薄く開いた肥後の口先から、鈍く光る銀の粒が顔を覗かせる。
「……キミが俺を悪く言う事によって生じるメリット。
…そう言えば、分かるよね?ミツ君?」
「……何を…」
明らかに動揺したミツを、更に責めてくる。
「もっと分かりやすく言わないと分からないかなぁ…。
うーん、そうだねぇ…
ジュノに先入観を植え付けたのは、だーれだ?
思いのままに俺の悪事を伝える事が出来るのは、誰…?」
「ミツ…?」
余裕たっぷりに笑う肥後とは対照的に、暗い表情でカーペットを見つめている。
やっと口を開いたかと思えば
「俺は…」
その一言だけで。
肥後は呆れたように大きなため息を吐いて、自分の荷物を手に取った。
「……まあ、いずれ分かる事だから。隠してても、ジュノは必ず知る事になる。
……でも、それを人づてに聞くのと、本人から言われるのとでは
全く結果が違う。
………君とはフェアに戦いたいからね、ミツ君」
『精々頑張って』と嫌味に笑って、ミツの方に手を置いてから、さっさと部屋を出て行ってしまった。
……意味がさっぱり分からん。