苦い舌と甘い指先






「ジュノ、お前は…」



冷静に、だけどどこか悲しそうな声であたしに何かを言いたかったらしいミツだけど。



「はいはい。喧嘩はそこまでだよー。

俺の存在忘れてるんじゃないの?」



空気を読まない明るい声が部屋に響き、肥後があたし達の間に割って入って来た。




「それに、二人とも悪いんじゃない?

ジュノはミツ君の忠告を無視して、ミツ君はジュノを縛りつけようとしてる。でしょ?」



「……それは」



そうだけど、でも。



「お前だけには言われたくねぇ。一番悪いのはお前だ!!」


自分の行動のせいであたしらが険悪なムードになっている事を自覚してないとでも言うのか。



「はいはい、ごもっとも。

でも、俺はただジュノと仲良くなりたいだけ。


それを先入観から拒んでいるのはジュノだし、それを強要してるのもミツ君だ。


俺自体に責任は無いんじゃないかな。違う?」



「それはお前の日ごろの行いが悪いんだろ!…誰でも彼でも手ェ出す様な軽い男だから……」



「……それ自体が間違っていたら?


只の噂に過ぎなかったら…?」




「あ…?」