苦い舌と甘い指先





だって反射的に振っちまったんだからしょうがないじゃんか…。



それに


「…悪いのはお前だ。被害者はこっちなんだよ。家に穴まで開いたしな」


幾ら仲が良いとはいえ、人んちに無断で入ってくる方がどうかしてる。


そう思って言った言葉だったのに。



「俺はお前を心配してだなぁ…!!

…っつーか、俺との約束はどうなった訳?コイツと話すな、二人っきりになるなって言ったよな?」



ミツはまるであたしだけが悪い様に言って来やがる。



「だってこれは…」



帰ってきたら勝手にこいつが家に上がり込んでいただけで。



別にお前が心配する様な展開にはなっていない。



そう言いたかったのに、あまりに冷たい眼差しで見てくるもんだから、つい…。



「……ミツの言いなりになんか、なりたくねぇ」


「…は?」



反抗的な態度を取ってしまった。



「お前、自分が何言ってるか分かってんのか?」



「…んなもん知るか」


「コイツにヤられても良いって言ってる様なもんだぞ!!?

分かってないなら俺の言うとおりにしろよ!!」



「!!…だから、何でそうやって強要させようとするんだ!!

あたしはお前の恋人でも奴隷でも何でもねぇんだよ!!」




……あ。



…今のは…言い過ぎだったかもしれない。




この妙な沈黙が、ミツのショックの大きさを物語っていた。