男も男で結構メンドクサイ。


でも、ミツだけは違う。



ミツはあたしの幼稚園からの幼馴染で、フツーに屁もこきあえる兄弟みたいな仲だ。


あたしの男っぽい口調も性格も重々承知の上でこうして一緒に居てくれる。



家からガッコが近いっつー理由でここを受験すると決めた時も、


『友達できなさそうだから心配で』とか言って、一緒に受験してくれた奇特なヤツだ。



なんでここまでお節介なのかは知らないけど、兎に角、あたしが高校で一人にならなくて済んでいるのはミツのおかげであって



感謝とまでは行かないが、結構嬉しかったりする。言わないけど。




「じゃあここまで」



「あーしたー」




チャイムが鳴って、ようやく今日一日の詰まらない学校生活が終了した。



掃除?HR?


まともに出る奴なんかあたしは知らない。



フツーの高校生って、結構忙しいんだ。



バイトとかデートとかさー。多分楽しいんだろうな。



あたしは帰ってゲームするだけだけど。




「ミツ。帰ろうよ」

中身の入っていないSupremeのバックパックを背負いながら

未だ雑誌に向かうミツに話しかける。


「あー…?うん。へへへ」


「ウゼェ。一人でニヤついてんじゃねぇよ」


「だってここ!!ウケるんですけど!!」


…相変わらず笑いの趣味も悪い男だ。