苦い舌と甘い指先






「…ジュノが嫌がる事、またしちゃった」


「……なら、何でしたんだ…」



「だってさ。…可愛すぎるんだ、キミは」



言いながらフッ…と笑みを作った肥後。


それは、何だかいつもの余裕のある笑みなんかじゃなくて、どうしていいか分からなくて。



「な…っ…なっ……!!


どアホーーーーーーー!!!」



“可愛い”と言われた事も手伝って、訳の分からない暴言を吐いてしまった。


「…キミは本当に面白い子だね」



「五月蠅い五月蠅いっ!!
こっ…これ以上あたしになんかしたら、ここから突き落としてやるからな!!」


「……えー?うーん。死ぬのはやだけど、ジュノには触りたいなー」


全ッ然答えになってねぇ!!


「このカスが!!」


「あ、精神攻撃?うーん。それは逆効果だね。

ほら、俺喜んでる」


ニコニコと満面の笑みで、本当に嬉しそうにする肥後に鳥肌が立つ。


両腕で体を抱え込む様にしながら、無言でそこから立ち去ってやった。



後ろから『放置プレイー?それはあんまり楽しくないよー』


なんて、ふざけた声が聞こえて来たが、それも無視をして美術室に戻る。