苦い舌と甘い指先





コレ、キス…!!!


自分とは体温の違う唇と舌が、飴玉でも舐めている様に動き回る。



それが気持ち悪くて…!!!


「…!!」


思いっきり舌を噛んでやったら、慌ててあたしから離れてった。



「…痛いよ」


「て…テメェが悪いんだろうが!!何でっ…あたし…初めてだ…た」


初めてがいきなりのディープキス。


しかも好きでも何でもない、寧ろ消え去れと願う位に嫌いなヤツとのもので。



「……っ!!」



思い出したら泣けて来た。あたしだって、こんなんでも一応は女だ。


初めてのキスは、夜景と星空の見える丘で、ロマンチックにしたいと思ってたくらいで。



それは無理でも最悪好きな人とするもんだと思ってたのに…!!



「最悪だ…っ」


言いながら力を込めて、何度も何度もブレザーの袖口で唇を擦った。




「…ジュノちゃん」


「うるせぇ!死ね!!」



「……ゴメン、まさか泣くとは思ってなくて」


「泣かなかったら良いのかよ!!」



こんなに嫌がってるのに、謝る位なら、最初からしなけりゃよかったんだ…!!


唇が布で擦れて 段々痛みが強くなっていく。



「ジュノちゃん」


「黙れよ!!」


「…ジュノ!!」


一際大きな声で名を呼ばれ、擦っていた方の腕を掴まれる。