苦い舌と甘い指先





どうにかこの体制から抜け出そうとするが、両手が肥後に抑えつけられていて身動きが取れない。



「マジ、どけよ!!」


「…嫌。だってさ、温かいんだもん、君のカラダ」


「何を…」



「…あれ?まだ寒い?なら……。


もっとあったまる様な事、シようか…?」



耳元に息を吹きかけられながら囁かれ、背中にゾクリと震えが走った。



そのままの状態で、肥後はあたしの首筋に舌を這わせる。



「キモっ…止めろっ!!」



「…じっとしてないと、君のオトモダチに言えない様な事までしちゃうよ」




今だって十分言えない様な事してるじゃねぇか…!!


ヤられてからでは遅いと思って、身体をジタバタさせる。



そんな事をしてもこの体制から逃れられる訳は無いのだけど、何もしないで黙って喰われるよりはマシだと思った。


でも……。



「…じっとしててって、言ったよね…?

それとも、そういうコト、して欲しいんだ…?」



「何を言ってんだテメェは…」



そんなわけあるか!



そう言いたかったのに、その言葉は喉の奥に引っこんで行った。



「ふぐ…ぅ…っ」



口内に艶めく、自分の物ではない、何か。


肥後の整いずぎた顔が目の前にある事に気付いて、やっと自分が今置かれている状況に気付く。