あたしの選択教科は美術だ。ミツもついでに一緒だ。
他にも音楽とか書道があったが…。
音痴という事にかけては世界一だと思うし、字を書く事程嫌いな事は無い。大体、あの墨汁と半紙とやらの組み合わせは間違いだと思っている。
汁っけたっぷりなのに、わざわざ薄い紙に書く理由がわからない。
まあそんなわけで、自然と美術を選択する事に決まった訳なのだが…。
「今日はー、お外に出て学校の好きな場所を描いて貰いまーす」
おっとりとした女教師が美術室に集まった生徒共に指示を出す。
待ってました、センセー。
この選択授業にして良かった所は、こうやって外に出られると言う所だ。
今はもう秋だが、春の頃は本当に良かった…。
良くミツと一緒に屋上で昼寝したっけ……。適当に花とか描いてれば『花壇だし』とかっつって誤魔化せたし。
今回もその手で行こうと思ったのだが
「あ、キミ達二人は一緒に行っちゃダメよー。
どうせ、サボった挙句に、焦ってまた同じ様な絵を描いてくるんだから。
一緒に居る所を見かけたら、補習ね~」
おっとり教師にダークな笑みでミツと引き離されてしまった。
あなたは5分後に出て来て、と言われ 大人しく教室で五分だけ待ってから
でっかい画用紙を抱えて廊下に足を踏み出した。
……ミツの事は引っ張って行っちまったけど…。
あたしの事は見張って無くても良いのかな?センセ。



