苦い舌と甘い指先




そうこうしてる間に、夏輝が二階から降りて来て。


「お待たせー!じゃ、リビング行こっか。

あ、パパも居るみたいだから、トシは覚悟しといて」


「…はーい」


肥後、若干顔引き攣ってたが大丈夫か。



ん?ってか。



「…お前、ナッティパパに会うの初めて?」


「…ジュノさん、さりげにナッティ言ってますけど。

…会うの初めてって言うか、家自体来るの初めて。まさかこんなにインパクトのあるご家族だとは思わなかったけど」


まぁ、インパクトはあるけどな。


それよりも、聞きたい事がある。ミツが壁にかけられてた絵画に興味深々で、夏輝が律儀に説明している間に。



「…あの…さ。お前らデート…っての、しないワケ?」


前からちょっと変だとは思ってた。


夏輝から休日に二人っきりで何かした、って話を聞いた事ねぇんだもん。



登校とか下校の時に一緒に居るのはよくあるんだが


学校以外でこいつらが会ったりしてるっての、あたしは知らないんですけど?



夏輝がそーゆー、自慢をしまくる様な女じゃねぇ事は分かるけど



それにしても、だと思う。付き合った初日にあんなに浮かれていた位だ。


初デートの時くらい、あたしかミツに自慢して来ても良いんじゃないだろうか、って。



したらコイツ、ケロッと、あたしでもドン引きな台詞を…ケロッと、サラッと!!言いのけやがった。



「しないよ。面倒じゃない?」



は……




「ハァァァァァァアアアアア!!?」