苦い舌と甘い指先





「ち…ちげぇし!あいつは…とっ友達で…っ」


「おいおい。動揺してんぞ。分かりやすいってもんじゃなく」



確かに…!!


「…あいつ?……ふーん」



歪んだ口元を隠そうともせず、ただ楽しそうに勘ぐり始めるかぁちゃん。


コレは今まで生きて来た中で一番恥ずかしい!



因みに二番目はアレだ。センセーに向かって『かぁちゃん』って言った事だ。今となっちゃーどうでも良いけど。



「…まぁいいや。じゃあ今日は泊まって来るのか?」


まーたニヤニヤと…。

「…言っとくけど、行くのは女友達の家だからな。


泊まんねーよ。夏輝…友達はカレシと過ごしたいだろうから、早めにあたしとミツは戻って来る事になってる」



「ふーん。ふーーん。へぇーー?」


「……んだよ」


「いや、今一瞬泣きそうな顔だったからさ」



何言ってんだババァ。


「老眼か。可哀想に」


「ぶん殴るぞ処女が」


「しょ…ッ!!!!」



馬鹿か!子どもの前で…馬鹿か!!


かぁちゃんの一言に顔を真っ赤にさせて憤慨する。それを見た母君は



「…ホントにお前…可哀想なヤツだな。色んな意味で」


肩に手を置いて、捨てられた子猫を見つめる様な透き通った瞳であたしを見た。



「うるせぇ!!」