苦い舌と甘い指先








***********



午前中で終わったガッコから、一旦自身の家に帰り、指定された駅前で落ち合う事になった。


「たらいまー」


「おかー」


やる気のない挨拶をかぁちゃんと交わし、自分の部屋へ入り


おもむろにクローゼットを開けて中身を物色する。




「…イブの日にパーティーで、クリスマスに遊園地って…。何着れば良いんだよ」


夏輝の突拍子もない提案を思い出して、ついため息を吐いてしまった。


いや、さ。



女同士だとか、カレカノ募集中の男女で行くんなら

着るものもなんとなく想像がつくんだが…


片方は腐れ縁の幼馴染同志


もう片方は付き合いたてのカップル



こんな状況でどう楽しめばいいかなんて分かんねぇし、変に気合入れてもおかしいっつーかピエロっつーか。


…はぁ。



「明日の分は明日考えりゃいっか…」


取り合えず、今着ていく分の服を取り出してクローゼットを静かに閉めた。



「…デートか?」


「…!!」


首をドアの方向に捻じ曲げると、そこには


ニヤニヤと気持ちの悪い笑みを湛えるかぁちゃんが立っていた。