苦い舌と甘い指先





「…うんっ!嬉しい…ありがとう…!」



作り笑いをすることに必死なあたしは気付かない。



夏輝が、泣きそうな顔で笑っていた事を。



あたしは気付かない。



気付けない。



あたしもまた、泣きそうだった事に。



気付かない、気付けない。




いつの間にか夏輝が、あたしにとって 本当の友達になっていた事を。




そして彼女にとっても、あたしが初めてできた女友達である事を。



だが、語らずに知る事などできない。


言わなければ。 伝えなければ。



そんな事


女友達の居た事のないあたしには到底無理な事なのだけれど。




ぎこちなく笑い合うあたし達の横で


彼だけが全てを知り、そしてあたし達以上に辛そうな顔をしていた事にもまた




気付けなかった。




「馬鹿だよ、お前ら…」




ミツ。ごめんな。