ある日の夕方。 忘れ物を取りにきた私は教室へと走る。 ガラガラッ と勢いよくドアを開ければ、そこには夕日を眺める君の姿。 「……久野くん」 彼は、こちらをチラッと横目で見て、すぐに視線は夕日へと戻された。 「……夕日、綺麗だね」 私が隣まで駆け寄り、そう言うと、君はわずかに頷いた。 あぁ…。なんでこの人は喋ってくれないんだろ。 声を、聞いてみたい。 私は、忘れ物を取って静かに教室を出た。