「そんなに勉強すきなの?でもさぁ、ふみちゃんソレ・・間違ってるよ?」

そういって小沢は数学参考書の問い9を指差す。
はっとして、問い9を見てもどこが間違っているのかわからない。
だからといって小沢に聞くのも、小沢の前で先生に聞きに行くのも
俺のプライドとして許せなかった。
なので仕方なく、問い9にしるしを付け、参考書を閉じ、
また別の参考書を取り出した。

「ん?ふみちゃん前、間違えがわかったらすぐ直せっていってなかった?
 俺は大丈夫だけど、ふみちゃん数学苦手でしょ?」

そんなこと最初からわかっている。
ただお前に指摘されたのが気にくわないなんて死んでも俺は言わない。
こんなことなら最初から小沢に聞けばよかった。
てっきりこいつなら忘れているかと思っていた。

「ああ、そうだな。
 忘れていた。小沢、問い9のとき方を教えてくれないか?」

この空間から消えてしまいたいという気持ちを抑えて、
俺は小沢に聞いた。

「ん?それかして
 ・・・あれ、問い9以外にも色々間違ってるよ?
 もしかして・・ふみちゃんってバカ・・?」

「ちがうっ!!数学が昔から他人より少し苦手なだけだ!!」

そうだ。俺は他の教科は他人よりもそこそこできるが、
数学は他人よりも何倍も努力しないといけなかった。

「でも、前の判定Cだったじゃん。
 だから俺てっきり・・」

「それは、数学がアレだったのもあるが、理科の空欄が一つずれ・・・・」

恥ずかしくてそれ以上はいえなかった。

「じゃぁ今週の日曜、俺んちくる?俺が家庭教師してやろっか?
 そういうミスとかなくなると思うけど?」

小沢の満面の笑みに俺はうなずくしかなかった。