「壱葉」 慣れた声に呼ばれて俺は視線を上げた。 大学構内の外れにある喫煙所は、人が少なくて気に入っているスポットだ。 「キャスター? お前よくそんな甘いの吸えるよな」 「かわいいだろ」 「そうやって年上の女、落としてんだろ。ギャップってやつ? マスターが言ってたぞ」 そんなんじゃねぇよと笑って吸殻入れに灰を落とす。