『みつきちゃん』 都合の良い幻影かもしれないとも思いながら、それでもあたしにはそのとき部屋の隅っこで笑う幼い万葉の姿が見えたような気がしてならなかった。 それがあたしの思いの変化だと言うのなら、きっとそれは。 『みつきちゃん。みつきちゃん、よかったね』 万葉のせいにして、逃げるのはもう終わりにしないといけない。 どれが逃げなのか、それさえも今のあたしには曖昧で。 でも、今のあたしのままじゃ、きっと駄目なんだ。