されるがままだった美月の腕が、恐る恐るの態で動くのが分かった。 伸びた先は俺の背中で縋るように回されたそれはひどくぎこちなかったけれど。 「………イチ、くん」 闇に消されてしまいそうな小さな声で美月が呼んだ。 イチくん。 昔からきっと変わらない。 でも当たり前だけれど、成長してるその声で。 「――――――――――ありがとう」