――そんなのは、駄目だ。 それでいいよ。 諦めたように響く、イチくんの声にあたしはなんて応えたらよかったのだろう。 そのくせ、あたしには。 イチくんの腕を突き放すことさえも、できなかった。 「生きててくれて、良かった。あの時、お前が死ななくて、生きててくれて良かったと俺は本当に思ってた」 今まで言ってやれなくて悪かった。 何でイチくんの声が罪悪感に濡れているのか分からなくて、あたしは勝手に涙が溢れてきそうになった。