馬鹿みたいなことをあたしは一瞬考えた。

もしかして、いなくなったと思ったのが夢で、目の前にいるのは本物のあたしの『万葉』なんじゃないかって。


あまりにも馬鹿馬鹿しすぎて、そしてあたしに都合が良すぎて。





万葉。

あたしはきっと、いつまでもあなたを忘れられない。
始まりのあの日も、やはり冷たい冬の雨の日だった。