「―――イチくん?」

「起きた?」


そこにいたのは、ベットに腰掛けたまま煙草を吸っていたイチくんの姿で。あれ、本当になんであたしここで寝てるんだろう。

痛むこめかみを押さえながら、あたしは起き上がってイチくんと向かい合った。
ひどく冷めた目で見下ろされている気がして、あたしは困惑する。


「――昨日のこと、覚えてんの?」

「……昨日、」

「芹沢と遊んでたんだってな」


ふうっと煙草の煙を吐いて、イチくんはまだ残ってるそれを灰皿に押し付けた。独特の甘い匂いが立ち上がって、あたしの鼻をくすぐった。