美月は決して万葉のことを忘れてはいなかった。 けれどそれはひどく歪んでいて。 (馬鹿だろ、お前) ごちゃごちゃになる思いをそんな簡単な一言で終らして、俺は寝入っている美月を見る。 その寝顔だけは昔と変わっていないような気がして、それがひどく胸を突いた。 *