オルガンの音が静かに流れる。
ゆっくりとドアが開き、お嫁さんが私の横を過ぎる。
純白のドレスがきれい。
あの人ね。あなたの愛した人は。
私のほうがちょっときれいみたい。
ううん、ずっとずっときれい。
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『あんな風な結婚式、憧れる』
『腕組んで?』
『そ。腕組んで結婚式上げるの』
―――――――――――、
そう言ってたのに。
そのとき、あなたも笑ってた。
『いつかは俺たちも』なんて。
今では、あなたの結婚式を一番後ろの席で見てる。
一人ぼっちでいるわたしをあざ笑うかのように。
二人は楽しく笑ってる。
まるで他人のように。
からかわないでよ。
本気だったのよ?
私のお祝いの言葉よ。
「くたばっちまえ、アーメン」
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『俺、あんまり化粧とかしてる子苦手なんだよね』
『そうなの?』
『だから、あんまりしないでほしい』
そう、優しい目で笑ったよね。
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もうすぐあなたはわたしを見つけ、
あの優しい目で笑って見せるでしょう。
そしたら、こんな風に言うのよ。
「久しぶり 素敵な人ね どうもありがとう、この招待状」
も一度、言ってもいいかな。
(くたばっちまえ、アーメン)
/「ウエディングベル」


