「はぁ……」なんとも、情けない。


 こうやって歩いていると、やはりカップルの方へと目がいってしまう。由美にあんな事を言われたせいだろう。

 俺にだって、さっきまではかわいい彼女がいた。あのまま別れを告げられずにいたなら、きっと、あのカップルのように、幸せな顔をして歩けていたのに。今も手を繋いで笑っていられたのに。


 由美は何故、突然あのような事を言ったのだろう?


 やはり、諦めきれない。自分に非があるようには到底思えなかった。今ならまだ、間に合うかもしれない。


 上着のポケットから携帯電話を取り出した。メモリーから由美の番号を検索し、ダイヤルする。