「お、すまんな成瀬。ありがとう」


 田渕とジョッキをぶつけ合う、カンッという乾いた音が響く。黄金色の液体がグラスの中で揺れ、泡立つ。


 田渕は愉快そうにビールを飲み干した。こんな風にころころと笑う田渕を見ると、俺も思わず微笑んでしまう。彼の人懐っこい笑顔が昔から好きだ。


 思えば高校時代、田渕の怜奈さんに対する惚れ込み様は半端じゃなかった。部活の帰り道、田渕との会話を思い出す。