「へー…そうなんだ。」



「ええ。じゃあ……お願いしますね。」




八尋兄様はそれだけ言って、
閉じた新聞を開き、また新聞を読みはじめた。






昨日の話してくれるって言ったのに……


どうしてさくに話してくれないの?



そんなにさく、役に立たないって思ってるの?


私は両手をきつく握りしめたまま俯いた。


「八尋兄様の…か、あ…、お…ん……す」


「ん……なんですか?さく。」


「八尋兄の馬鹿、阿呆、おたんこなすーー!!!!」


そう八尋兄様に言ってやった。

思っていたとうり、
八尋兄様はポカンとした顔をしていた。


その顔を見て
自分が言った言葉の重大さに気付いた私は
そこから、猛ダッシュして逃げ出した。





「はぁい!?ちょっと、さく、待ちなさい!!」



八尋兄様は大声を上げて追いかけてきた。