アネモネの花束を君に

「落ち着いたか?」

千鶴さんが優しい顔をして私に尋ねた。

「はい。大丈夫です。」

「それはよかった。」

ははっとわらいながら、千鶴さんがいった。

「そういえば………私って何日寝てました?」

「…3日だよ。」

「そうですか……」

またか……。

私は3年前突然倒れた。原因は心臓病。それから、昔みたく遊べなくなり、更につまんなくなった。そして、屋敷の庭を駆け回らなくなってから、時間が余っていた。
真白は訓練が、私は語学の勉強が増えた。

そう、財閥に生まれた者の定められた人生。そうなるのが当たり前。今まで無かったのが不思議ぐらいなのだ。