奈央はイスにすばるを座らせると、タコ焼きののった皿を受け取りにカウンターへ行った。 「おばさんいつもありがとう」 奈央は代金をポケットから出すと、受け皿にのせた。 「はい、これはすばるちゃんに」 老婦人はいつも、支払いの中から10円返してくれる。 「ありがとう、おばさん」 最初その好意を断っていた奈央も、主人の 「わしら夫婦二人きりで、子供も孫をおりません。せめてこいつに気持ちだけでも味わわせてやって下さい」 という言葉に、それから素直に受けとることにしていた。