奈央はタカシの声が聞こえなかった。 ――ユタカとかいう男、変なこと言っていたわ。ヘッドとか、ケガとか・・・てんちゃんは暴走族にいたの?じゃあ、ケガのせいで頭が?―― 「奈央ちゃん、どうしたの?」 ママの言葉に奈央は我に返った。 「あ、別に。さぁ、てんちゃん、みんなカクテルショーをお待ちかねよっ」 「オッケー、みんな、どの色がいーい?」 タカシは無邪気な顔をしてシェーカーを握ると客に向かって言った。