最後まで迷った。
絵利からのメールは、多分絵利の精一杯のメッセージだ。
いつも明るくて笑顔の絶えない絵利だけど、本当は弱いことは俺が一番知ってる。
絵利を傷つけたくなかった。
なのにどうしても、絵利を失えなかった。
それは全て、俺が弱いからだった。
「…最低だな、俺は」
絵利に甘えながら、拠り所にしながら、俺はどうしても友梨に心を奪われたままでいる。
友梨が俺を拠り所にしているのであれば、俺は友梨の支えになりたい。
例え友梨の気持ちが、俺にはなくても。
車の鍵を手にした。
今ならまだ、多分間に合う。
既に昼過ぎなのに随分と寒い屋外に、俺はジャケットを羽織って飛び出した。



