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死んじゃえばいいって、ずっと思ってた。
あたしなんか死んじゃえばいいって、むしろ死んで真人のところに行きたいって、ずっとそう思ってた。
『なんでお兄ちゃんなの?あんたが死ねばよかったのに』
あの子の言う通りだと思った。
あたしより真人の方が、生きる価値がある人間だと思ってたから。
真人のお葬式で誰かが涙を流す度、それはあたしを責め立てた。
どうして真人が。
どうしてあなたじゃなく、真人が。
だからあたしは、泣けなかった。
今日の、この日までずっと。
『友梨、クリスマス何が欲しい?』
『何でもいいの?』
『高いものじゃなかったらね』
『じゃあ指輪!指輪が欲しい!』
『高いじゃん、指輪』
『安物で全然いいのっ!あたしは真人の恋人なんだっていう証をちょうだい』
…真人のお墓は、綺麗に磨かれていた。
いつもそう。誰かが必ず、真人の所へ来てる。
まだみんな、真人を忘れていない。
「…来たよ、真人」
真人が好きだったバラの花束を、そっとお墓の前に置いた。



