Noёl


それは、俺が絵利に伝えていかなくちゃいけないんだ。
きっと絵利は、まだわかってないと思うから。

これから先、長い時間をかけて。


「…渡辺」

絵利が立ち上がった。
ぐすっと鼻をすすり、しおれかけのバラの花を一本差し出す。

「言い忘れてたから」

泣き笑いの表情で、絵利は小さく呟いた