「…絵利」
多分人は、無理に人を好きになることはできない。
例え好きになったとしても、いつか必ず崩れていく。
俺は友梨が好きだった。
多分これから先も、きっと好きだ。
でも今、どうしようもなく絵利が愛しい。
この子を、幸せにしてやりたい。
「乗れよ」
「だから…」
「絵利だけだよ」
ガチャリと車のドアを開ける。
しゃがんだままの絵利が、目を丸くして俺を見上げた。
「ここに乗っけるのは、これから先絵利だけだ」
泣き出しそうだった瞳から、大粒の涙が零れた。
口をしっかり結びポロポロと涙を流す絵利の頭を、俺はくしゃっと撫でる。
絵利は全部わかってる。
今はまだ俺が友梨を忘れていないことも、友梨への想いが叶うことのないものだったことも、全部。
俺はきっと、これから先絵利を好きになる。
今以上に愛しいと思うようになる。



