死因は出血死でした。
それからのことはよく覚えていません。
ただ、毎日お父さんとお母さんは喧嘩をしていました。
お母さんはお兄ちゃんのことが大好きだったから、私のことを許せなかった。
そんなある日、男の人が訪ねてきました。
お父さんは怖い顔をしていたけれど、お母さんはとても笑顔でした。
その男の人が来て以来、毎年四月四日は部屋から出してもらえませんでした。
けれど、お母さんも私に対して今まで通りの優しい態度に戻りました。
とても嬉しかった。
お父さんは今までと変わらず優しかったけれど、時々寂しい顔をしていました。
月日が経ち、私が大人になるにつれてお父さんは寂しい顔をする回数が増えていきました。
きっと、あと何年、あと何ヶ月、あと何日、あと何時間、と感じていたんだよね。
私が売られるまでの時間を考えると、寂しくて仕方無かったんだよね、お父さん。

