二 億 円



大好きなお父さん

大好きなお母さん



二人にとって私は何だったの?



今なら信じてしまいそうだった



『家族は貴女を売った。』と言った彌生様の言葉。



「可哀想なお人形さん。家族に愛され、いつまでも幸せは続く、と勘違いしていたのでしょう?」


勘違い。


確かにそうかもしれない。勝手に愛されていると勘違いし、勝手に幸せだと勘違いしていた。そう、私が勘違いしていただけ。



「私は、要らなかったのでしょうか…」


思わず零れた言葉。微かな声だった。




「さあ?私は貴女の家族ではありませんからね。分かりません。ですが…」



少し目を閉じ、私を優しく抱き締めた。



「私は、貴女のことを必要としています。家族が貴女を不必要だと捨てたとしても、私は貴女を必要としていますよ?お人形さん。」



優しい言葉だった。



少し乱暴で、痛い思いをしても、必要とされるなら此処にいてもいい。




そう思ってしまった。



オークションで買われて二日目。
私は家族を失い、居場所を手に入れた。




そう、勘違いしていた。