大好きなお父さん
大好きなお母さん
二人にとって私は何だったの?
今なら信じてしまいそうだった
『家族は貴女を売った。』と言った彌生様の言葉。
「可哀想なお人形さん。家族に愛され、いつまでも幸せは続く、と勘違いしていたのでしょう?」
勘違い。
確かにそうかもしれない。勝手に愛されていると勘違いし、勝手に幸せだと勘違いしていた。そう、私が勘違いしていただけ。
「私は、要らなかったのでしょうか…」
思わず零れた言葉。微かな声だった。
「さあ?私は貴女の家族ではありませんからね。分かりません。ですが…」
少し目を閉じ、私を優しく抱き締めた。
「私は、貴女のことを必要としています。家族が貴女を不必要だと捨てたとしても、私は貴女を必要としていますよ?お人形さん。」
優しい言葉だった。
少し乱暴で、痛い思いをしても、必要とされるなら此処にいてもいい。
そう思ってしまった。
オークションで買われて二日目。
私は家族を失い、居場所を手に入れた。
そう、勘違いしていた。

