二 億 円




軋むベッドの音。表現できない初めての痛み。歪む表情。聞こえる耳障りな吐息。






怖いのに、怖いと言えなかった。


嫌なのに、拒否できなかった。




大好きなお兄ちゃんが大嫌いで憎い存在に変わった。




お父さんも、お母さんも、気づいていたのに知らん振りをされた。








家族が敵になった。






『お前は俺の奴隷だ。』




そう言われ続け、毎晩のように行為は行われた。




毎晩泣いた。毎晩苦しんだ。夜なんて来なければいい、太陽が消えないで欲しい。





そう、願い続けた。