「お兄ちゃんは?お兄ちゃんはどこにいったの?───君はお兄ちゃんじゃないの?ねえ、ねえお父さ「静かにしろ!!雅樹はお前のせいでっ…!!」」
雅樹( マ サ キ )…─それがお兄ちゃんの名前なの?
名前を言われてもピンとこなかった。
「尚哉さん、落ち着いて下さい。それは『禁句(タブー)』ですよ。」
可笑しそうにほくそ笑みながら、お父さんの肩を叩く。
「っ……!!君だって、君だって雅樹を殺したのと変わらな「尚哉さーん。あまり余計な口叩くと契約は取り消し、ですよ?」」
殺した?契約?幼い私には分からない言葉ばかりだった。
「今日はこの辺で失礼しますよ。また来年、お伺いします。子猫ちゃんにも会えましたし、ね。」
軽く会釈をし、玄関から出て行く男の人は
笑っていました。
「雅樹っ…雅樹………!!!うっ…ううっ!…───。どうして、どうしてあんなことをしたんだ?どうしてお前だけ、何にも覚えていないんだ?何故、どうして…
お前は此処にいれるんだ!?」
涙でぐしゃぐしゃになった顔で私を睨みつけ、暴言を吐き散らし家を飛び出した。
雅樹を殺したのはお前なのに。と暴言を吐いて。

