二 億 円





「や、彌生様…これは?」




信じたくない、けれど




「朝食、ですよ?今日は一緒に取りましょうね。」



にこやかに、何も可笑しなことなどないとでも言うように私に其処へいくよう促す。





私は、ペット?お人形?




この人の何なのだろう。






「ひなた、私は言うことを聞かない子は嫌いですよ。


さあ、お食べなさい。」




拒否権など、ない。
いや、拒否する勇気がないと言う方が正しい。



また、痛い目に合うくらいなら、静かに従っていた方が…─






「三回も私の指示を無視するとは…イケない子ですねえ。」




苛々しだした彌生様から離れ、準備されていた朝食を





舐めた。






「良い子ですね、ひなた。さあ、もっと、もっとお食べなさい。」





私の様子を見て満足そうに食事をしだす彌生様。




ほら、私が素直に従っていれば何もされない。静かに過ごしていれば何も起きない。




私が、我慢すればいいだけ。





暫くの我慢。




絶対に逃げ出してやるんだから。