二 億 円



コワイ。イタイ。コワイ。イタイ。




交互に襲ってくる感情に頭がおかしくなりそうだった。



「もっと、もっと、鳴き声も聞かせて下さい。もっと、もっと、私を快楽の頂点へ…。」





狂ったように笑い、もっともっと、と快楽を求め続けるその姿はまるで壊れた玩具のようで。




黙って耐えるしかなかった。






「あは、はは…はは?





何故、黙っているのですか?これでは興ざめですね。」




黙って耐えれば、終わる。
黙って、痛みも苦しみも耐え続ければ、そこで終わるはずだから。




だから、泣かない。


嗚咽を漏らさない。




そうすれば全て丸く収まる。





そう、信じるしか道はなかった。



オークションで買われて一日目。



私は、自分の涙を捨てた。