二 億 円



返事は即答でした。




「あんたみたいな下卑お断りよ。」



「光栄ですね。では明日デートしましょう。」


「は、え…あんた人の話聞いてんの?」


「美味しいレストランを予約しておきます。父の知り合いの店で、とてもお洒落で…きっと、刹那さんもお気に召すかと思いますよ。」



返事は【 No 】。けれど僕にとってその場の返事なんて関係無かった。


「あんたって本当に分からない奴。悪いけど、明日はバイトがあるの。お洒落なレストラン?そんなのそこらの派手な女とでも行けば?」



カツカツ、と優雅なヒールの音を響かせ、刹那さんは去っていった。



周りの野次馬は、私ではなく刹那さんにくびったけ。


理由など聞かなくても貴女の後ろ姿で分かりましたよ?





「あの刹那ちゃんが頬を赤らめるなんて…やっぱり彌生くんってすごい。」




所詮、貴女も 女 。